2013年9月9日月曜日

True FISPを用いた心臓のシネMRI

本日は下記の論文を読んでみました。

Carr JC, et al.: Cine MR angiography of the heart with segmented true fast imaging with steady-state precession. Radiology. 2001 Jun;219(3):828-34. 

Radiologyからdownloadできます。

True FISPを用いた心臓のシネMRI 
FLASHを用いた心臓のMRIが実施されてきたが、血管と心臓壁のコントラストのメカニズムは血液のフロー効果に依存している。 
ゆえに、フロー効果を得るためにTRを長く設定する必要があり、結果的に撮像に時間がかかる。 

True FISPは長いT2を持つ組織の定常状態の磁化を再利用できるので、心臓壁と血液のコントラストを増加させ、かつ短時間撮像が可能 

対象:5人のボランティア、18人の患者 
MR:1.5T MR scanner (Sonata, Siemens) 
FISP: 収集時間10秒 実効時間分解能48-64 msec 
FLASH: 収集時間15秒 実効時間分解能 40 msec 

定量的評価
血液、心筋、背景ノイズの測定 
SNR(血液)、SNR(心筋)、CNRを計測 
CNRは撮像時間のrootかつ、ボクセルサイズ(VS)をノーマライズして比較 
CNR(n) = CNR / (VS x sqrt(FT)) 
VS = cubic millimeters 
FT = (TR x PES)/1000 PES: Phase encoding step 

定性的評価
2人の観察者で評価:5点満点 
血液-心筋コントラスト、血液信号の不均一性、端の評価、心臓内構造物、心膜水、疾患の描出 
アーチファクトの評価 

結果 
Volunteer study 
SNR(血液):FISP > FLASH 
SNR(心筋):FISP < FLASH 
CNR: FISP > FLASH (2.2倍) 
CNR(n):FISP > FLASH (4.12倍) 

定性的評価 
血液-心筋コントラスト、血液信号の不均一性、端の評価、心臓内構造物、心膜水、疾患の描出、全てにおいてFISP > FLASH 
アーチファクトに関しては若干FLASHの方が少ない。 

その他 心膜水の描出はFISPが良好 
TRが長いとアーチファクトの影響が大きくなる 
TRが3msecよりも小さい場合、信頼性が向上 

心臓の動態解析にTrue FISPは有効

2013年9月6日金曜日

True FISPを用いた心壁機能評価

本日は下記の論文を読んでみました。

Barkhausen J, et al.: MR evaluation of ventricular function: true fast imaging with steady-state precession versus fast low-angle shot cine MR imaging: feasibility study. Radiology. 2001 Apr;219(1):264-9. 

Radiologyからdownloadできます。

True FISPを用いた心壁機能評価:FLASHとの比較 

対象は10人の健常者と10人の患者(冠動脈疾患4名+心不全6名) 

心臓の撮影:心電図同期Short- / Long axis cine MRI: FLASH vs True FISP 
スライス厚8mm, gapなし 
撮像時間: 
True FISP: 15 k-space lines per frame and 心拍 / 9心拍:実効時間分解能48msec 
FLASH: 7 k-space lines per frame and 心拍 = 77msec / 19心拍:実効時間分解能45msec(echo sharing +) 

CNRの計算:心筋と心室内、アーチファクトの無い空気の信号から計算 
ROIの大きさ:心室内、空気8mm、心筋2mm 撮影された心サイクル全てにおいてROIを計測 
拡張末期、収縮末期の容積測定 
マニュアルおよびセミマニュアルでcontouringし、その比較を実施 

結果 
True FISPのCNRはFLASHよりもShort axisで46%、long axisで100%高い。 
心室内の信号はtrue FISPが2倍高い。 
収縮期のFLASHの心室内と心筋のコントラストは低い。 
(心室内のslow flowが原因) 
True FISPのマニュアルおよびセミマニュアルcontouringの結果は非常に一致。 
EF, 駆出量も一致。 
FLASHにおける収縮末期の容積はかなりの過大評価 (EFと駆出量の過小評価)
自動contouring機能はTrue FISPを使用した場合非常に正確

2013年9月4日水曜日

Steady State Free Precession (SSFP)を使用した整形領域疾患に対する高速MRI

本日は下記の論文を読んでみました。

Vasanawala SS, et al.: Rapid musculoskeletal MRI with phase-sensitive steady-state free precession: comparison with routine knee MRI. AJR Am J Roentgenol. 2005 May;184(5):1450-5.

AJRからdownloadできます。

Steady State Free Precession (SSFP)を使用した整形領域疾患に対する高速MRI 

通常関節軟骨は2D-脂肪抑制T2W, Proton強調画像、3D-SPGRにて評価される。
シーケンスの高速化は待望されており、SSFPが有望視 

最近ではTRを短縮化することによって、磁場不均一が原因のアーチファクトを減少させることができるようになってきた。 
脂肪抑制SSFPの一種として、phase-sensitive SSFPを開発 
撮像原理は理解できず(?)。 

通常のフーリエ変換後、虚数と実数のデータ(散布図)を取得 
得られる散布図において、データが極力虚数軸に沿うように軸を回転 
実数軸との交差点より上(positive)を水画像、下(negative)を脂肪画像として計算 

ボランティアの膝×6、症状を有する14の膝を1.5T MRI(Signa)で撮像 
Phase-sensitive SSFP(90秒)を脂肪抑制T2W(3分13秒)、プロトン強調画像(4分18秒)と比較 

結果 
Short TEのため、半月板や靭帯の信号を得ることができる。 
脂肪抑制効果は脂肪抑制T2WとPhase-sensitive SSFPとほぼ同一 
(Phase-sensitive SSFPはハードウェアによって引き起こされる不均一の影響もみられない) 
関節軟骨の描出は脂肪抑制T2WよりもPhase-sensitive SSFPの方が良い。 
骨挫傷等のedematous lesionにおいても有効と予想されるが、本論文では手術結果や病理等と比較してシーケンスの有効性は議論していない。

膝の関節軟骨描出にIDEAL-SSFPは有効か?

本日は下記の論文を読んでみました。

Gold GE, et al.: Articular cartilage of the knee: rapid three-dimensional MR imaging at 3.0 T with IDEAL balanced steady-state free precession--initial experience. Radiology. 2006 Aug;240(2):546-51. Epub 2006 Jun 26. 

Radiologyからdownloadできます。

膝の関節軟骨にIDEAL-SSFPが有効かを調べた論文 

5人のボランティアに対し、3T-MRI(Signa)を用いて3種類のシーケンスの評価を実施 
1. IDEAL bSSFP: Echo 1.3, 1.7, 2.0 msec, 撮像時間3分40秒 
2. 脂肪抑制bSSFP: 撮像時間2分13秒, 脂肪抑制はCHESS 
3. 3D脂肪抑制GRE: 撮像時間9分40秒 
全てのシーケンスにおいて、マトリクスは256x256, スライス厚は1.5mm 

比較対象 軟骨、漿液、空気の信号計測:SNR, CNR, 撮像時間を加味したSNRe, CNReを計算 
アーチファクト、画像ノイズ、脂肪抑制効果を4点スケールにて比較 

結果 SNR(関節軟骨):IDEAL = GRE > bSSFP 
SNR(水):IDEAL > bSSFP, IDEAL, bSSFP > GRE 
CNR(関節軟骨-水):IDEAL > bSSPF, IDEAL, bSSFP > GRE 
SNRe(関節軟骨):IDEAL = bSSFP > GRE 
SNRe(水):IDEAL > bSSFP > GRE 
CNRe(関節軟骨-水):IDEAL > bSSFP, GRE 

画質、脂肪抑制においてIDEALが最良点 
IDEAL, bSSFPは水を高信号として描出でき、軟骨との分離に有益 
Chemical shift artifactの補正が効果的なので、IDEALの技術を利用したIDEAL bSSFPは膝の関節軟骨やその周囲の水を高いSNR, CNRで描出できる 

2013年9月3日火曜日

MDCTの特徴および腹部撮影におけるポイント

本日は下記の論文を読んでみました。

Saini S. et al.: Multi-detector row CT: principles and practice for abdominal applications. Radiology. 2004 Nov;233(2):323-7. Epub 2004 Sep 30.

Radiologyからdownloadできます。

MDCTの特徴および腹部撮影におけるポイントを記した文献 

本論文ではMDCTのデータチャンネル、実効検出器幅、検出器の組み合わせ、ビーム幅、ピッチ、テーブル速度の重要性について記述

SDCTがMDCTと進化し、検出器列の理解の必要性が向上

 Z軸方向の列数が1回転中に収集できる検出器数と誤解されやすいが、 Z軸方向のチャンネル数と考えるべき
(Z軸方向に多数の検出器が配置されていたとしても、同時に収集可能なチャンネル数が4チャンネルの場合、1回転中に収集できるスライス数は4) 

疾患を観察するために最低必要なスライス厚で撮影する必要があるが、呼吸停止との関係も考慮する必要がある。 

胸腹部-骨盤(700mm)まで撮影が必須と仮定 
息止め時間が20秒が限界とする。 
その場合、テーブル速度は35mm/sec。 
z方向に利用可能なチャンネル数を考慮の上、ピッチとガントリー回転速度を変更。 
ガントリー回転速度は基本的に高速が望ましいが、出力低下には注意が必要 

造影タイミングや濃度、到達時間やそのdelayについての考察も含まれている。

2013年8月28日水曜日

膝と股関節の軟骨画像に関するreview

本日は下記の論文を読んでみました。

Kijowski R.: Clinical cartilage imaging of the knee and hip joints. AJR Am J Roentgenol. 2010 Sep;195(3):618-28. doi: 10.2214/AJR.10.4661. 

AJRからdownloadできます。

膝と股関節の軟骨画像に関するreview 

膝(と少しの股関節)の軟骨画像に関して、最新のシーケンスも紹介 

使用されているシーケンスの多さに驚きました。 
2D-FSE(PWI, T2W), T1-weighted gradient echo, SPGR, FLASH, DESS, DEFT, GRASS, Balanced SSFP, true FISP, FEMR, VIPR-SSFP, FSE-Cube, SPACE 
脂肪抑制技術:Water excitation or linear combination, IDEAL 

軟骨と滑液を分離できるシーケンスの方が、軟骨の損傷の診断には好ましい 

軟骨画像のmain limitationは分解能 
軟骨部分が小さいため、partial volume効果が問題 
それゆえ、1.5Tよりも3.0Tもしくは更に強い静磁場の環境下での撮像に大きな期待がかかる。

2013年8月27日火曜日

股関節脱臼非観血的整復後のMRIの有用性に関する論文

本日は下記の論文を読んでみました。

Bachy M, et al.: Utility of magnetic resonance imaging (MRI) after closed reduction of developmental dysplasia of the hip. J Child Orthop. 2012 Mar;6(1):13-20. doi: 10.1007/s11832-012-0382-6. Epub 2012 Jan 11. 

PMCからdownloadできます。

股関節脱臼非観血的整復後のMRIの有用性に関する論文 

乳児股関節では骨頭はまだ骨化しておらず、大腿骨骨幹部から位置を推測するしかない。 
レントゲンやCTでは正確な評価は難 

対象患者:31名(男子4名、女子27名) 
右側10名、左側16名、両方5名 

牽引治療後Spica cast装着 
MRI撮影は整復後1週間以内に実施 

MRI: 1.5T Achieva 
MRI実施時はsedationも麻酔も実施せず。 
撮像sequenceは 
1. Axial, coronal T2W fast field echo 3min02sec 
2. T1W TSE (1min35sec) 

X線撮影の結果 
12名:評価困難 3名:Spica cast後脱臼疑い 

MRI撮影の結果 
全症例でsedationも麻酔も実施せず 
全症例で画質は良好 
36症例中30例で整復を確認、6例中3例はX線でも確認可 

Spica castを装着して撮像した場合、自然入眠かsedationなしでMRI撮像可 
脱臼位置の正確な評価において、MRIは有効

2013年8月26日月曜日

CTにおける表面ビームプロファイルとピッチの関係

本日は下記の論文を読んでみました。 

Zhang D, et al.: Variability of surface and center position radiation dose in MDCT: Monte Carlo simulations using CTDI and anthropomorphic phantoms. Med Phys. 2009 Mar;36(3):1025-38.

PMCからdownloadできます。

ヘリカルスキャニング、コンベンショナルスキャニング両方において、
CTDI phantomとanthropomorphic phantomの表面線量と中央(深部)線量の
ビームプロファイル検討した論文

CT装置:Sensation 64をモンテカルロ計算用にモデリング
     Beam collimation = 24 × 1.2 mm = 28.8 mm
     Radiation profile = 34.1 mm (FWHM measured by OSL dosimeter)

CTDI:CTDI測定に使用するファントム、線量計(電離箱)、ロッドをモデリング
(本論文では32cm直径PMMA phantom)
Anthropomorphic phantom:CIRSの男性用ファントムをモデリング
(骨、軟部組織、肺)

モンテカルロコード:MCNP eXtended v2.5.c (MCNPX)

検討項目 CTDI phantom内表面線量および中央の線量分布
120kVp, 100 mAs, 28.8 mm nominal beam width, -7.5 ~ 7.5 cmまでscan
Pitch: 0.75, 1.0, 1.5 Radiation beam width:
1. 28.8 mm (ideal beam width)
2. 34.1 mm (measured radiation beam width)
3. 41.0 mm (測定したものから20%ビーム幅を増やしたもの)

Anthropomorphic phantom内表面線量分布
120kVp, 100 mAs, 28.8 mm nominal beam width,
全ファントム(頭部から体幹部まで)をscan
Pitch: 0.75, 1.0, 1.5 Radiation beam width: 34.1 mm

ビームON開始角度 0°, 90°, 180°, 270°の方向開始角度を比較
Pitch: 1.5, Beam width = 34.1 mm

表面線量分布のリプルを少なくするためのピッチの計算方法
P = A/N*(S-R)/S
P.ピッチ、A.実際のビーム幅、N.ビームコリメーション、
S.線源-回転中心間距離、R.回転中心から表面までの距離

本研究において、CTDIファントムを式に値を当てはめると、
P = 34.1 mm / 28.8 mm * (570 mm &#8211; 150 mm)/570 mm
P = 0.87 (overbeamを考慮しない場合、P = 0.74)
同様にAnthropomorphic phantomを式に当てはめると、
P = 1.04 (頸部)、P = 0.96(胸部)
以上のことから、 CTDI phantomでの検討:P = 0.74, 0.87
Anthropomorphic phantomでの検討:P = 1.04, 0.96, 1.00(中間の値)

結果 CTDI Phantomの中心部の線量プロファイルは、
Nominal beam width: 28.8 mm、Measured beam width: 34.1 mmと
5.3mmも幅が広い状況下において、pitch = 1.0でスキャンした場合、スムースな分布となる。
(5.3 mm分は重なるが、散乱線の影響でリプルはほとんど把握できない)

一方で、表面部分ので線量プロファイルはビーム幅が広いがゆえにピークと谷を繰り返すような分布となる(Fig.2)

ヘリカルスキャンだけでなく、コンベンショナルスキャンでも山や谷ができる。
CTDI phantomのpitchを変更させた場合の表面線量分布のリプル
Contiguous axial scanのとき、ripple 45%
Pitch = 1のとき、ripple 30%
Pitch = 1.5のとき、ripple 62%
Pitch = 0.75のとき、ripple 40%

照射開始の位置を0°、90°と変更することで、位相がシフトする。

Anthropomorphic phantomでの検討において、P = 1.04とした場合、頸部の変動は9%に減少、胸部は20%を超えている。
P = 0.96とした場合、胸部の変動は8%に減少、頸部の変動は16%に上昇
不均一な人体のような物体では表面線量をピッチの変更によってコントロールすることは不可能

小さな線量計にてヘリカルスキャンの表面線量を測定し、CTDIwを計算する際には線量の変動が大きいことに注意が必要。
用いるピッチによっては50%以上も値が変わってしまう。

2013年8月23日金曜日

OSLを利用したCTDIの測定とその検証

本日は下記の論文を読んでみました。

Ruan C, et al.: Determination of multislice computed tomography dose index (CTDI) using optically stimulated luminescence technology. Med Phys. 2010 Jul;37(7):3560-8. 

Medical Physicsからdownloadできます。

OSL stripをCTDIの測定に応用し、その精度を検証した論文 

CT: GE Lightspeed VCT 
OSL tapes (Landauer): Al2O3 150mmにカットして使用 
PMMA phantomには専用の自作フォルダーにいれて照射 
緑色の光でreadout 150mmを0.25mmステップで測定、60秒程度で測定が可能 

比較検討項目 
Dose profileの測定: 
管電圧との関係(100, 120, 140kVp) 
ビーム幅との関係(5mm, 10mm, 20mm) 
OSL線量計はエネルギー依存性があるので、補正を実施 

-50mm ~+50mmの間での積算線量を100mmの電離箱と比較 

CTDI(450-OSL)を測定(450mm) 
CTDI(100-effeciency) = CTDI(100-OSL) / CTDI(450-OSL)を算出 

結果 OSL線量計を用いて40mmビーム幅で測定したprofileがFig 3に示されている。
 (Head or body CTDI phantom, center or periphery) 
同様にビーム幅を変えて測定したprofileがFig4に示されている。 

-50mm ~+50mmの間での電離箱とOSLの値の差は4%以内 
CTDI(100-effeciency): Head-central 72%, 
Body-central 56%程度 Peripheryは84%程度 
線質やビーム幅に大きくは影響しない 

OSL線量計を用いたCTDIの測定は比較的短時間で実施できるため、有用性が高い。 
100mm電離箱を用いたCTDI(100)ではtailの測定ができないが、本方法では簡便に実施できる。

2013年8月21日水曜日

CT撮影における線量の計算:高速モンテカルロ法による評価

本日は下記の論文を読んでみました。


Chen W, et al.: Fast on-site Monte Carlo tool for dose calculations in CT 

applications. Med Phys. 2012 Jun;39(6):2985-96.


Medical Physicsからdownloadできます。


CT撮影における線量の計算:高速モンテカルロ法による評価 
モンテカルロ法はCT検査の線量計算に有用だが、誤差を少なくし、実用的な結果を得るのに時間がかかる。 
 
Graphics processing units (GPUs)を用いて、同時並行的にモンテカルロ計算を実施 
 
臨床で実用的な速度で実施するモンテカルロ法の高速化とその精度検証の論文 
GPUの説明は私にとっては難 
 
装置は
MSCT: SOMATOM Definition Flash, 
Flat detector CT: Artis zeego, 
micro CT: TomoScope 30s 
フィルタの材質や形状はメーカから提供をうけ、モンテカルロ計算に組込 
 
CTDIの計測を電離箱とTLDで実施 
同様にモンテカルロシミュレーションではCTDI phantomを1.0mm^3で実施し、実測に対する差異を計算 
共に100mAs当たりの値に変換し、比較 
 
胸部データ、頭部データ、マウスのデータを用いて、GPUで計算した値と、CPUで計算した値の差異を計算 
 
結果 
プロファイルで見た場合、GPUで計算した値と、CPUで計算した値はほぼ一致(1.0%以内) 
(Fig. 7にCT画像に吸収線量分布を重ねた画像表示あり) 
Single-core CPUに比較し、GPUによる方法では計算時間が31-55倍高速化 
胸部CTにおけるデータでは、Single-core CPUでは70分、GPUによる方法では1分半 
CTDIにおける計測とモンテカルロの結果では4%以内で一致 
 
CT検査の線量分布を高速モンテカルロ法で計算できる
この方法は様々なCTに応用が可能であり、画像作成後数分単位で表示ができる 
臨床での線量分布の把握やCTの新技術時の研究に役立てることができる

将来のCTは、通常のDICOM画像に加え、DICOM-RTのように線量分布を重ね合わせた画像を保管することになるのかもしれない。

2013年8月16日金曜日

NoninvasiveなCTの半価層測定法(2種類)の評価

本日は下記の論文を読んでみました。

Kruger RL, et al.: Measurement of half-value layer in x-ray CT: a comparison of two noninvasive techniques. Med Phys. 2000 Aug;27(8):1915-9. 

Medical Physicsからdownloadできます。

NoninvasiveなCTの半価層測定法(2種類)の評価 

CTではGantryが回転して照射をしているため、半価層測定に工夫が必要 
サービスマンに回転とテーブルを止めてもらい、bowtie filterを外して測定することも可能だが、 Noninvasiveな方法が好まれる 

CT:HiSpeed CT/i Noninvasiveな方法を2つ提案 

1. リング法(Fig 1, 2 に写真有) 
45cm直径のアルミニウム(2mm厚)×4枚を同アイソセンターに設置 
アルミを配置しない場合を加えて、5種類のデータから半価層を計算 

2. スカウト法(Fig 3, 4に写真有) 
スカウトを使用し、アルミニウムはガントリーカバーに設置して半価層測定 

上記2方法に加え、サービスマンに回転、bowtie filterを調節してもらい、測定 

リング法 vs スカウト法 
7.19 mm vs 7.17 mm(有意差なし) 

サービスマン助力によるInvasive法 
Bowtie filterなし:7.10 mm 
Small Bowtie filter:7.22 mm 
Large Bowtie filter:7.24 mm (大きく変わらない) 

アイソセンターに線量計を設置せず、off-centerにおいていくと、2cm程度では大きく値は変わらない。
しかし、このデータはこのversionのCTでのみ通用する事実なので、ほかの状況には当てはめ不可 
アイソセンターに設置した場合、bowtie filterは半価層に影響しない。 
故に、簡単に実施できるスカウト法は有益かもしれない。

MDCTにおけるweighted CTDI∞の評価について

本日は下記の論文を読んでみました。

Li X, et al.: Estimation of the weighted CTDI(∞) for multislice CT examinations. Med Phys. 2012 Feb;39(2):901-5. doi: 10.1118/1.3678990. 

Medical Physicsからdownloadできます。

MDCTにおけるweighted CTDI∞の評価について 
ε(CTDI100) = CTDI(100) / CTDI(∞) 
上記定義においてbowtieフィルター、スライス厚、管電圧を変化させ、ε(CTDI100)の変動を調査 

CTDI(∞)はモンテカルロ計算(GEANT4)にて計算 

装置はSiemens Definition 

他の論文とε(CTDI100)の差異を比較 

Siemens Definition CTにおいて、ε(CTDI100)の変動はbowtie filterが変化しても2.5%程度 
ε(CTDI100)は管電圧にほとんど影響しない。 
ε(CTDI100)は16cm CTDI phantomの中心において、0.7-0.8 ε(CTDI100)は32cm CTDI phantomの中心において、0.5-0.6程度

最近のMDCTで得られる測定に関連した正確性について

本日は下記の論文を読んでみました。

Mathieu KB, et al.: Precision of dosimetry-related measurements obtained on current multidetector computed tomography scanners. Med Phys. 2010 Aug;37(8):4102-9. 

PMCからdownloadできます。

最近ではガントリー内の構造やHVL, 4分の1幅、エネルギー等のモデリングがうまくいくようになり、モンテカルロ法を用いた線量計算も現実味をおびてきた。 

一般的にCTDI(100, air)でモデリングの校正は実施されており、CTDI(w)で検証した際には3.5%程度のエラーが報告されている。

しかし、装置の劣化、測定機器のドリフト等を考えて、どの程度モンテカルロと値が一致すればよいのか、特別指標があるわけではない。 
そこで、装置の短期、長期にわたる正確性を評価し、その変動を調査した論文 

調査した期間は、weekly, 3か月か4か月ごと 
装置は3種類(GE VCT, GE Light Speed 16, Siemens Sensation 64) 

測定内容 CTDI(100, air), HVL, QVL(4分の1)、CTDI(w) 

結果 
全ての計測結果の%CVは4.33%以内 
95%が2.75%以内 おおよそ5%以内に%CVが入ると考えても良い。 

その他 
実際のCTDII(100, air)、半価層の測定写真が掲載されているほか、VCT, SensationのHVLも掲載されおり、Siemens HVLが高いことが一目でわかる。

2013年8月15日木曜日

CTDI測定におけるOSL線量計の正確性評価

本日は下記の論文を読んでみました。

Vrieze TJ, et al.: Technical note: precision and accuracy of a commercially available CT optically stimulated luminescent dosimetry system for the measurement of CT dose index. Med Phys. 2012 Nov;39(11):6580-4. doi: 10.1118/1.4754591. 

Medical Physicsからdownloadできます。

CTDI測定におけるOSL線量計の正確性評価 

Landauerにより提供されているOSL線量計におけるAccuracy, precision、エネルギー依存性を調査 
比較はCTDI測定用電離箱 

各々の線量計を1回転(テーブル移動なし)照射。
照射後、Landauerに返却しread out 

CT:Somatom Definition DS (Siemens) 

測定箇所:
空気中のアイソセンター、16cmアクリルファントム中心、32cmアクリルファントム中心、
ファントムなし空気中3時の方向アイソセンターより7cm、
16c mアクリルファントム3時の方向アイソセンターより7cm、
32cmアクリルファントム3時の方向アイソセンターより15cmの6か所 

スキャン条件:ビーム幅3.6, 6.0, 19.2, 28.8 mm / 120 kV, 28.8 mm / 80 kV 
(ビーム幅3.6 mmは32cmアクリルファントムでの測定はなし) 

28パラメータにおいて、5回ずつ計測(平均、標準偏差計測) 

電離箱:CTDI(100) 
OSL線量計:プローブ位置における空気吸収線量、総線量、CTDI(100) 

電離箱線量計の値に対するOSL線量計の誤差(%)を算出 
誤差(%)の平均、RMSを計算 

結果 RMS値はおよそ約10%であり、OSL線量計は電離箱に比較して過小評価する傾向 
OSL線量計の変動係数は電離箱に比較して10倍以上大きい 
エネルギー依存性が比較的大きいため、エネルギー依存を補正する係数が必須

2013年8月14日水曜日

MDCT (Light Speed QX/i) vs SSCT (HiSpeed CT/i)の性能評価

本日は下記の論文を読んでみました。

McCollough CH, et al.: Performance evaluation of a multi-slice CT system. Med Phys. 1999 Nov;26(11):2223-30.
Medical physicsからdownloadできます。

Multi-slice CT (Light Speed QX/i) vs Single Slice CT (HiSpeed CT/i)の性能評価を検討した論文

Mult-slice CTはSingle slice CTに比較してgeomteryが異なる
焦点-アイソセンター間距離:54 cm vs 63 cm 
焦点-検出器間距離:95 cm vs 110 cm 
Z軸方向の検出器:16エレメント×1.25 mm vs 1エレメント 
Z軸方向の同時撮影可能スライス:20 mm vs 10 mm 
16エレメントの検出器は4種の検出器の組合せが可能 
 4 × 1.25 mm, 4 × 2.50 mm, 4 × 3.75 mm, 4 × 5.00 mm 

Single Slice CTにおけるピッチ 
P = 1回転あたりのテーブル移動 / nominal スキャン幅(FWHM at isocenter) 
P = 1.0以下の場合、overlapがあると考えることができる 

Taguchi, Huによって提案されたMulti-slice CTにおけるピッチ 
P = 1回転あたりのテーブル移動 / 1データチャンネル幅 (4 × 1.25 mmの場合1.25) 

1回転あたりのテーブル移動量とX線幅を直感的に考えるために、新たなピッチを提案 
P = 1回転あたりのテーブル移動 / 全検出器幅(チャンネル数×単一チャンネルの幅) 
Multi-slice CT においてもP = 1.0以下の場合、overlapがあると考えることができる 

低コントラスト分解能、空間分解能、画像均一性、ノイズ、CT値の正確性、スライス感度プロファイル、ヘリカルアーチファクト、放射線プロファイル、CTDIを比較 

低コントラスト分解能、空間分解能、画像均一性、ノイズ、CT値の正確性は2つの装置で特に違いはない。 

ノイズはSingle vs multi-slice CTで特徴的 
Single slice CT: Pitchに依存しない 
Multi-slice CT: ピッチの変更に伴い自動でmAを変更、ノイズを自動調整 

スライス感度プロファイル 
Multi-slice CTの方がFWHMが小さい 

ヘリカルアーチファクト 
Multi-slice CTにて高ピッチの場合に増強 

放射線プロファイル 
Single slice CT: Nominal scan幅の1mm以内の放射線プロファイル 
Multi-slice CT: 大幅に広い放射線プロファイル    
4 × 1.25 mm: 5 mm nominal scan widthに対し、12.5 mm 
4 × 2.50 mm: 10 mmに対し、16.5 mm 
4 × 3.75 mm: 15 mmに対し、21.5 mm 
4 × 5.00 mm: 20 mmに対し、26.0 mm 

Multi-slice CT特有のartifactがfigureに掲載されていて、興味深い。 

放射線プロファイルが全検出器幅に比較して非常に広いので、さらなる最適化が不可欠。 

2013年8月10日土曜日

全脊椎の撮影はCRが有効か?

本日は下記の論文を読んでみました。

Sasagawa T, et al.: New computed radiography processing condition for whole-spine radiography. Orthopedics. 2011 Dec 6;34(12):e906-10. doi: 10.3928/01477447-20111021-15.

ORTHOPEDICSからdownloadできます。

全脊椎の撮影はCRが有効かを調べた論文

CRは撮影後に濃度変換や周波数処理などの画像処理を加えることができるため、
従来からのフィルムに比較して全脊椎の描出力に差があるかを検討

CRは長尺撮影用カセッテを使用
29名の患者に対し、正面と側面の撮影を実施

画像は3ポイントで5人の脊椎専門医により評価

結果
CRのほうがより椎体描出に優れる。
骨粗鬆症の患者や、太った患者にも有効。
脊椎の側面撮影では、濃度の勾配が高いので(肩、横隔膜、腰、骨盤)、
フィルム撮影で同時に描出することは難しかったが、
CRの撮影ではかなりの部分で評価をすることが可能。

奨励の写真が3名掲載されているが、一目でCRが有効であるとわかる。

撮影後に濃度を切り替えられるCRは全脊椎撮影において有益

2013年8月5日月曜日

CR-IPを使用してCTのビーム幅を測定する方法

本日は下記の論文を読んでみました。

Liu HL, et al.: Measurement of CT radiation profile width using CR imaging plates. Med Phys. 2005 Sep;32(9):2881-7. 

Medical Physicsから購入できます。

コリメーションはCTの画像および被曝において重要 
ビーム幅はアイソセンターにおけるFWHMで計測される 

CR-IPを使用してCTのビーム幅を測定する方法を記述 

CRはFuji-CRを使用 
(Fuji CR systemは80kVp, 1mmCu+1mmAl, 1mR照射した際に、S200となるように校正) 

通常のX線管を用いて、線量-デジタル値の関係を把握 
GE Model 2AOULOSA, HVL=3.37mmAl at 80kVp 
Siemens Model 3345233, HVL=3.11mmAl at 81kVp 
2-80mAsと変更させ、線量-デジタル値の関係を把握 
(線量はKeithley Triad dosimeterにて照射線量を把握)
 CR処理: Fixed EDR mode L=4, S=5 (AVE4.0) 

CT: GE Light Speed 16 Kodak X-Omat V(XV)をアイソセンターに配置
照射(120kVp, 120mAs, 2sec) 
CRをアイソセンターに配置して、照射(80kVp, 5-80mAs) 

X-OmatとCRのFWHMを比較 


結果 およそ90mR以下の照射線量以下の場合、デジタル値は飽和しない。 
(80kVp, 20mAs程度) 
低線量部分において、Kodak X-OmatとCRで線量-デジタル値の関係が大きくずれる。 
半値幅測定を実施する場合、このTailの部分を避けることで正確な測定が可能となる。 

Kodak X-OmatとCRの差:3%以内 
飽和させた状態でFWHMを測定すると、値は大きく異なる。 

論文の趣旨とは異なるが、10mmのビーム幅に対し、12mm程度のFWHMが計測されている。 
20%の差は少し大きいようにも思う。

2013年8月3日土曜日

冠状動脈の狭窄の定量評価:DSCTによるファントムStudy

本日は下記の論文を読んでみました。

Toepker M, et al.: Stenosis Quantification of Coronary Arteries in Coronary Vessel Phantoms With Second-Generation Dual-Source CT: Influence of Measurement Parameters and Limitations. AJR Am J Roentgenol. 2013 Aug;201(2):W227-34. doi: 10.2214/AJR.12.9453. 

AJRからdownloadできます。

冠状動脈の狭窄の定量的評価は従来から実施されているが、比較対象がIVUSや定量的冠状動脈撮影であり、リファレンスとしては的確ではない。 

本研究では、3D printerを使用して狭窄ファントムを作成 
血管壁 2, 3, 4 mmφ
CT値:104.8 壁厚:0.4mm 
プラーク(狭窄部) 位置は中央と端 
CT値:72.2 狭窄率直径(面積)25%(43.8%)、50%(75%)、75%(93.8%) 

ファントム (QRM-Thorax) 
心臓の動きを再現(ECG信号+:70beats/m) 
造影剤濃度(+生理食塩水):150、200、250、300、350 

造影剤を流しながらCTを実施 
CT:120kVp, 360mAs, collimation 2×64×0.6mm 
空間分解能 0.4mm ガントリー回転時間 330ms ピッチ0.32
時間分解能 83ms 

血管狭窄ファントムでの測定結果 測定者間の一致(ICC) 0.791 P<0.001 
3mm血管径では10%以内のerror
2mmでの評価においては10%以上のerror
狭窄が大きくなると、造影剤のblooming artifactが減少
狭窄が小さいと、造影剤のblooming artifactが顕著
→小さい狭窄:過大評価
→大きい狭窄:過小評価 の傾向+


造影剤濃度が150HU~200HUの場合、血管径が小さくなるにつれてerrorは増加

プラークの位置依存性は特に見つからず。

今回の検討ではプラークは石灰化を模擬していない。

DSCTでは3mm以上の血管径かつ200HU以上の造影剤濃度が得られた場合、
正確に(error10%以内)狭窄を評価できる。

2013年8月1日木曜日

PET/CT検査における全身CTの被曝線量最適化

本日は下記の論文を読んでみました。

Tonkopi E, et al.: JOURNAL CLUB: CT Dose Optimization for Whole-Body PET/CT Examinations. AJR Am J Roentgenol. 2013 Aug;201(2):257-63. doi: 10.2214/AJR.12.10495. 

AJRからdownloadできます。

PET/CT(特にFDG)では頭部から大腿までほぼ全身撮影が実施される。 
通常の診断的撮影条件にて全身CTを撮影した場合、約24mSv。 
PETが22mSvを超えない程度と報告されていることから、一度の検査で46mSvにもなる。 

本研究はCT撮影条件を最適化して線量を低減させ、画質劣化を及ぼしていないかを調査 

診断に適さない低線量CT撮影モードを使用:吸収補正+解剖学的位置把握 

120kVp, TCM(+: 10-210mA), 再構成スライス厚.3.75 mm 

パラメータの最適化(最適化前:140名、最適化後100名) 
Noise index: 25 → 27.1 
ピッチ: 1.75 → 1.35 
回転時間(s): 0.8 → 0.5 
ビームコリメーション: 16×0.625 → 16×1.25 

線量評価はDLP, 実効線量 

26名の患者は両方の集団に属していたため、画質評価を実施 

結果 32%の線量低下 
CTDI(vol) mGy: 6.4 → 4.3  
実効線量 mSv: 8.1 → 5.5  
PET/CTの実効線量 mSv: 16.2 → 13.6 
総点数において画質評価は特に統計的差異はなし。 

内頚動脈、外側頸三角部は画質スコアの低下 
全ての画像において診断に使用可能 

線量低減のポイント 回転時間の短縮化、ビーム幅の増加、ノイズインデックスの増加 
(本装置はビーム幅の増加により、自動的にピッチが小さくなる) 

パラメータを最適化しても5.5mSvは被曝を受ける。 
装置のパラメータの最適化もさることながら、検査の正当化も重要。

2013年7月31日水曜日

管電圧自動選択技術による小児CTの被曝低減効果

本日は下記の論文を読んで見ました。

Siegel MJ, et al.: Effects of Automated Kilovoltage Selection Technology on Contrast-enhanced Pediatric CT and CT Angiography. Radiology. 2013 Aug;268(2):538-47. doi: 10.1148/radiol.13122438. Epub 2013 Apr 5.

Radiologyからdownloadできます。

管電圧自動選択技術が小児CTの被曝低減に有効かを考察した論文

低電圧CTが小児領域において被曝低減、画像コントラスト増加に有益であることは一般的に知られている。
管電圧の低下はノイズの増加やビームハードニングアーチファクトを引き起こすので、
最適な管電圧 vs 管電流
                    vs 患者の体格
                    vs 診断目的
は現在のところ定まっていない。

CNRを最適化しつつ電圧、電流を変化させるプログラム:Care kV(Siemens)が発売
その実用性を検証

患者:87名(中間値:10.5歳)/男子49人、女子38人
検査:胸部造影CT、腹部造影CT、胸部CTA
装置:Somatom Definition AS + Care kV + CARE Dose4D

Care kVの設定値
胸部CT、腹部CT:7
胸部CTA:11

120kVpおよびCare kVにて撮像した場合のCTDIvol、effective mAsを記録

15名の患者は120kVpを利用した16列CT(TCM+)でも撮影
画像のノイズ、CNR(肝実質、門脈)を計測

結果
Care kV使用により、
45/87: 100kVp
34/87: 80kVp
3/87: 70kVp
4/87: 120kVp (不変)
1/87: 140kVp (増加)


胸部CT,腹部CT,胸部CTAすべてにおいて、Care kV使用下においてCTDI(vol)は低下
低下率:26%~49%

Effective mAsはCare kV使用下において増加

小児放射線科医による5点評価
77/87: excellent
7/87: good
3/87: moderate
(全て診断可能)

120kVpとCare kVを比較可能であった15名
コントラスト、ノイズ:120kVp < Care kV
CNR: 統計的有意差なし
CTDI(vol): 120kVp > Care kV

スカウト像から自動で最適管電圧、管電流を決定してくれるCare kVにより、
小児領域において画質を保ちつつ、線量の低減が可能。

通常どの管電圧が最適化を目視にて判断することは困難であり、
Care kVのように自動で推奨値が得られる方法は好ましいのかもしれない。

2013年7月19日金曜日

乳児股関節の脱臼整復効果、フォローアップにエコーが有効

本日は下記の論文を読んで見ました。

Beek FJ, et al.: Transinguinal sonographic determination of the position of the femoral head after reposition and follow-up in a spica cast. Pediatr Radiol. 2010 Nov;40(11):1794-9. doi: 10.1007/s00247-010-1726-3. Epub 2010 Jun 16.

PMCからdownloadできます。

乳児股関節の脱臼整復効果やその後のフォローアップにエコーが有効であることを、小児放射線科医に紹介するために書かれた論文

2010年に報告されており、比較的画像(エコー)の質も良い。
おそらく整形外科の世界ではかなり昔から実施されてきたことなので、
医療の世界では新しい発見とはいえないかもしれない。

特筆できることがあるとすれば、エコーの限界を明記していること。
大腿骨頭の位置と寛骨臼後方との位置関係の把握が困難。
骨頭が後方に脱臼しており、寛骨臼後方との関係を把握したいのであればCTが有効。

しかし大腿骨頭のみの撮像でもCTの被曝は0.4mSvもあり、回避できるようなら回避したほうがよい。
(CT撮像条件を見る限り、かなり低線量モードを採用しているけれども)

乳児股関節の診断の不確かさ(画像)

本日は下記の論文を読んで見ました。

Roposch A, et al.: Increased diagnostic information and understanding disease: uncertainty in the diagnosis of developmental hip dysplasia. Radiology. 2007 Feb;242(2):355-9.

Radiologyからdownloadできます。

乳児股関節の診断の不確かさについて、主として画像に関してのコメントです。

用語として使用される、「abnormality」、「disease」の違いに注意。

エコー診断が使用されるようになって20年が経過していますが、未だに国際的に一致した評価がない。
どこまでを疾患として捉えるのか、どこまでを治療対象とするのか、
画像診断が医療に貢献するようになって、この問題が顕著になってきたと筆者は述べています。

US等で診断されたdysplasiaと将来の骨関節炎との関係はまだ十分な理解が進んでいない。

画像は「現疾患の理解」のために使用されるだけでなく、「将来の疾患リスク」評価まで求められているというのが良く分かります。

Retrospective study designが重要ということが良く伝わってきました。



乳児股関節脱臼の整復後のMRI

本日は下記の論文を読んで見ました。

McNally EG, et al.: MRI after operative reduction for developmental dysplasia of the hip. J Bone Joint Surg Br. 1997 Sep;79(5):724-6. 

JBJS(Br)からdownloadできます。

乳児股関節脱臼の整復後のMRI

イギリスからの報告。
この施設では手術室で整復を実施し、その後整復後の状態を把握するためにそのままMRIを実施。
麻酔がまだ効いているので、sedationは行わず。

T2*の画像が脱臼把握に有効
coronalは無意味

乳児股関節の骨はヒアリン軟骨なので、T2*が有効であると説明。
画像が多いので、画質に興味があれば参考になるかもしれない。


2013年7月17日水曜日

感染症による肺の変化の検出:Radiography vs Tomosynthesis

本日は下記の論文を読んで見ました。

Kim EY, et al.: Pulmonary mycobacterial disease: diagnostic performance of low-dose digital tomosynthesis as compared with chest radiography. Radiology. 2010 Oct;257(1):269-77. doi: 10.1148/radiol.10100303. 

Radiologyからdownloadできます。

肺感染症による結節、consolidation、肺葉の減少をRadiographyに比較してTomosynthesisの検出能を比較した論文 

Tomosynthesisでは深さ方向の位置、臓器の重なりを最小限にすることで視認性の向上が得られる 

X線被曝: Radiography. 0.02mSv, Tomosynthesis. 0.05mSv, CT. 3.4mSv 
(Tomosynthesisの被曝はパラメータを考慮することにより、低被曝を考慮) 

有所見患者65名、所見の無い35名の胸部写真について、RadiographyとTomosynthesisで比較 
リファレンスはCT 

疾患パターンは5項目に分類、細気管支炎、結節、consolidation、空洞、容積減少の5項目 

RadiographyとTomosynthesisの読影は放射線科医2名、
リファレンスの読影は別の放射線科医1名 

統計の項目において、サンプルサイズの計算を実施 

RadiographyとTomosynthesisの全体的な感度: 98%、91% 
疾患毎の感度もカッパ係数もTomosynthesisの方が高い。 

CTにて検出された141の空洞において、 
Tomosynthesisは108/141=77% 
Radiographyは27/141=19% 検出 

Tomosynthesisは被曝量がRadiographyの2.5倍だが、明らかに高い感度を有している。

2013年7月15日月曜日

胸部RadiographyとTomosynthesis:肺結節検出率に差はあるか?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Vikgren J, et al.: Comparison of chest tomosynthesis and chest radiography for detection of pulmonary nodules: human observer study of clinical cases. Radiology. 2008 Dec;249(3):1034-41. doi: 10.1148/radiol.2492080304. Epub 2008 Oct 10. 

Radiologyからdownloadできます。

CTをリファレンスとした場合に、RadiographyとTomosynthesisの肺結節検出率を比較した論文

Radiography: 0.04 mSv  
Tomosynthesis: 0.12 mSv (Radiographに比較して3倍) 
Chect CT: 4.0 mSv (Radiographに比較して100倍) 

画像評価は4名の放射線科医 
Observerは50:50の確率で結節があるケースと、ないケースがあると説明を受けて読影 
スコアは1-4点評価(4:明らかに結節有、1:おそらく結節は存在しない) 

リファレンスは胸部CT 
 結節サイズはAxial断面での最大計として記録し、分類
(4mm以下, 4< ~6 mm, 6< ~8 mm, 8mm< ) 

対象患者100名(結節有50名、結節なし50名) 
11名の患者は除外(20以上の結節有、呼吸アーチファクト、その他) 
最終検討患者数:肺結節42名、無47名 

Tomosynthesisの肺結節検出率はRadiographyに比較し、3倍以上 
Jackknife Free response ROC(JAFROC):
Tomosynthesis. 0.64 vs Radiography. 0.40 P<0.0001 

CTにて検出された肺結節 4mm以下: 51, 4< ~6 mm: 33, 6< ~8 mm: 15, 8mm<: 32 計131 Tomosynthesis検出率: 121/131 = 92% 
 Radiography検出率: 37/131 = 28% 
 6mmより大きな結節はTomosynthesisにて100%判定 

Figure 5にCT, Tomosynthesisにて検出できるが、Radiographにて検出できない例が掲載 
放射線被曝を抑えつつ、非常に小さな結節の検出にTomosynthesisは有効 

2013年7月12日金曜日

Tomosynthesisは手関節の骨折評価に有効か?

Ottenin MA, et al.: Evaluation of the diagnostic performance of tomosynthesis in fractures of the wrist. AJR Am J Roentgenol. 2012 Jan;198(1):180-6. doi: 10.2214/AJR.11.6374. 

AJRからdownloadできます。

Tomosynthesisを用いて手関節の骨折を評価した論文 

対象患者100名 
Radiographyは下記のうち少なくとも4種類を実施 
PA、側面、斜位、最大尺屈舟状骨撮影、指を屈曲したPA撮影 

Tomosynthesisは正面と側面撮影 
(10秒、60projections、31-43スライス、1mm再構成)

CT 64列および320列CTにて0.5mm slice撮影、MPRにて読影 
CTを実施後不明瞭なケースには1.5T-MRIを実施(13患者)

読影 2名の放射線科医+1名の整形外科医 

結果 
Tomosynthesisの感度はRadiographyよりも良好(74-84% vs 58-74%) 
Tomosynthesisの特異度はRadiographyと同様(93-96% vs 91-94%) 
被曝 CT >>> Tomosynthesis (28倍) 
5方向撮影の単純写真 > Tomosynthesis 

舟状骨骨折は撮影肢位によって診断しやすさが変わるので、Tomosynthesisの場合においても手関節の肢位が重要。

Tomosynthesisはリウマチによるerosionの検出に有効か?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Canella C, et al.: Use of tomosynthesis for erosion evaluation in rheumatoid arthritic hands and wrists. Radiology. 2011 Jan;258(1):199-205. doi: 10.1148/radiol.10100791. Epub 2010 Nov 2.

Radiologyからdownloadできます。

Tomosynthesisはリウマチによるerosionの検出に有効かを検討した論文 

対象患者は30名のリウマチ患者 女性21名、男性9名 
(平均罹患時間7年3か月) 

手指のRadiography (ED: 0.04μSv) , Tomosynthesis (ED: 0.12μSv), CT (DLP:315mGycm)を同日に施行 

2名の放射線科医、リウマチ医によって画像評価 

結果 
Interobserver, intraobserver reliabilityは全ての検査において、0.95以上 
疾患検出数:CT 232, Tomosynthesis 199, Radiography 140 

CTをリファレンスとした場合、
感度、特異度、正確性は Tomosynthesis: 77.6%, 89.9%, 83.1% 
Radiography: 53.9%, 92%, 70.9% 
False positiveはTomosynthesisとRadiographyにおいて同等 

TomosynthesisはRadiographyに比較し、約20%高感度かつ、CTほど線量も多くないので有効に使用できる。

2013年7月11日木曜日

Tomosynthesisは膝の骨棘と肋軟骨下嚢胞の検出に有用か?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Hayashi D, et al.: Detection of osteophytes and subchondral cysts in the knee with use of tomosynthesis. Radiology. 2012 Apr;263(1):206-15. doi: 10.1148/radiol.12111649.

Radiologyからdownloadできます。

Tomosynthesisが膝の骨棘と肋軟骨下嚢胞の検出に有用かを検討した論文 

リファレンスはMRIとし、単純写真と比較 

対象患者は40歳以上の40名、80の膝 
(平均年齢57歳±10.8, 75%が女性) 

MRIにて検出された骨棘:171 
TomosynthesisはRadiographyよりも35骨棘を検出 

MRIにて検出された肋軟骨下嚢胞:51 
TomosynthesisはRadiographyよりも16肋軟骨下嚢胞を検出 

Tomosynthesisは骨棘、肋軟骨下嚢胞をRadiographyよりも検出可 
Figure 2の骨棘はRadiographyでまったく見えないが、Tomosynthesisで非常によく見える。

2013年7月10日水曜日

3T-MRI-DWI(ADC)を用いて前立腺炎と前立腺癌を区分けできるか?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Nagel KN, et al.: Differentiation of prostatitis and prostate cancer by using diffusion-weighted MR imaging and MR-guided biopsy at 3 T. Radiology. 2013 Apr;267(1):164-72. doi: 10.1148/radiol.12111683. Epub 2013 Jan 17. 

Radiologyからdownloadできます。

3T-MRI-DWI(ADC)を用いて前立腺炎と前立腺癌を区分けできるか否かを検討した論文 

3T-MRIを使用し、T2W, DWI, dynamic T1W(2.5秒ずつ210秒)にて画像診断 

MRI対応Biopsy装置を使用し、True FISPにて場所を確認しつつBiopsyを実施 

Biopsyの結果とその部位のADC値を比較し検討 

対象患者:88名、116部位 

結果 
正常、前立腺炎、low grade前立腺癌、high grade前立腺癌とADCの関係(Figure 4) 
正常≧前立腺炎≧low grade前立腺癌≒high grade前立腺癌 

ADCを用いた画像診断において、正常≧前立腺炎≧前立腺癌となる傾向 
しかし、overlapがあるので注意が必要

2013年7月9日火曜日

第1世代と第2世代320列CTによる冠状動脈CT:線量と画質比較

本日は下記の論文を読んでみました。

Chen MY, et al.: Submillisievert median radiation dose for coronary angiography with a second-generation 320-detector row CT scanner in 107 consecutive patients. Radiology. 2013 Apr;267(1):76-85. doi: 10.1148/radiol.13122621. Epub 2013 Jan 22. 

Radiologyからdownloadできます。

X線管回転速度が350msec(第1世代)から275msec(第2世代)に高速化 
それに伴い、One-beatで収集可能なHRは65beats/minから75beats/minに増加 

本研究では第1世代において100名、第2世代において107名の患者で比較 

第2世代撮像条件:320×0.5mm, ガントリー回転速度275msec, 
0.5mm厚、0.25mm間隔で再構成、
逐次近似再構成(AIDR3D)使用 

線量比較 
CTDI(vol), DLP, 実効線量(DLP×0.014mSv/mgy), 
患者の体格を加味したsize-specific dose estimate 

画質比較 
循環器読影医2名による、4点方式(4点=excellent) 
Motion artifact, image noise, enhancement, fine detail 

結果(第2世代) 
CT画像収集時のHR:75BPM以下95.3%、65BPM以下78.5% 
CT画像収集時の管電圧:100kV_90.6% 
Single volume収集:95.3% (残りはbypass評価にて撮像範囲が広い) 
Prospective gate収集:99.1%(残りは弁の評価のため、retrospective収集を実施) 
1 beat収集:93.4%(75BPM 以下) 

放射線量 
ガントリー回転速度の増加、低電圧(100kV)の積極的な使用、照射範囲の的確化により、65%の実効線量低下(中間値: 2.67mSv > 0.93mSv) 

画質 
循環器読影医2名によるスコア一致率89.7% 
全取得画像は診断的価値あり。 
スコアは第2世代の方が高得点(中間値: 3.31 < 3.79) 

同じ320列CTにおいても第1世代よりも第2世代のCTの方がより高画質かつ低線量で撮影可能 
被曝低減に効果を発揮した手法は、回転速度の増加、照射範囲の絞り、低電圧の使用(100kV)

2013年7月8日月曜日

PET/MR imaging: technical review

本日は下記の論文を読んでみました。

Torigian DA, et al.: PET/MR imaging: technical aspects and potential clinical applications. Radiology. 2013 Apr;267(1):26-44. doi: 10.1148/radiol.13121038 

Radiologyからdownloadできます。

PET/MR imagingについて解説したreview 

PET/MRは二つの方式に分かれる 
1. PET(/CT)+MRの方式:この方式は並んで装置を配置し、回転テーブル等で接続 
2. PET/MRの方式:PETとMRを同時に収集できるタイプの装置 

Fig. 2に2つのタイプの写真が掲載されている。 

1のタイプの装置は13m×4.3mも場所が必要(Philips) 
GEはtrimodality(PET/CT+MR)を考慮、モバイルベッドでシャトル式に患者を移動し、同一検査として、PET, CT, MRIが可能となっている。 

2のタイプの装置は磁場中でのPET, MR同時収集が可能。一方でまだ問題も発生している。
内側から外側に向かって、Body coil, PET detector, Gradient coil, Primary magnet coil, Magnet shielding coilを設置 

PET/MRの臨床利用として、腫瘍領域、神経領域、循環器領域、骨格筋領域の解説がなされている。

MRは組織分解能に優れているので、PETとのfusionは極めて有効 
PET/MRはCTを使用しないため、放射線被曝低減に有効 
PET/CT, MRIの同時操作は、技師が3種類の検査に長けている必要があり、非常に高い能力が要求される。

2013年7月3日水曜日

頭部CTおよび頭蓋内血管: A review of Dual energy CT

本日は下記の論文を読んで見ました。

Postma AA, et al.: Dual-energy CT of the brain and intracranial vessels. AJR Am J Roentgenol. 2012 Nov;199(5 Suppl):S26-33. doi: 10.2214/AJR.12.9115. 

AJRからdownloadできます。

Dual energy CTを用いた頭部および頭蓋内血管の検査に関するreview 

大きく二つの項目について考察されている。 
CTAにおいて頭蓋底の骨と血管を苦労することなく区別可能か? 
造影後の頭部CTにおいて出血と造影剤を区別可能か? 

Dual energy CTAでは頭蓋底の骨のsubtraction能力が期待されている。 
しかし症例に依存するようで、血管を削ってしまう症例も存在する。 
石灰化を有す血管では、石灰化をうまく描出できるケースもあるが、石灰化を大きく削ってしまい、狭窄の過大評価を及ぼすケースも紹介されている。 
Subtractionを行う「人の目」がまだ不可欠。 

もう一つのトピックスは造影後の頭部CTにおいて出血と造影剤を区別できるかについて。 
本機能は臨床に有用であると記載されている。 
PCIの後の出血検査や、血栓除去術の後のCTとして有用かつ、単純CTを省くことの被曝低減効果も期待されている。 
Fig. 6, 7に分かりやすい症例が紹介されている。

2013年7月2日火曜日

Dual energy CTA: Dual energyを用いたBone removalは有効か?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Schulz B, et al.: Automatic bone removal technique in whole-body dual-energy CT angiography: performance and image quality. AJR Am J Roentgenol. 2012 Nov;199(5):W646-50. doi: 10.2214/AJR.12.9176. 


AJRからdownloadできます。

Dual energyを用いたBone removal techniqueは有効かを調べた論文 

装置はSomatom Definition Flash (120-MDCT) 

Image 1 / Tube A: 140 kV, 90 mAs 
Image 2 / Tube B: 100 kV, 382 mAs 
Image 3 / 画像再構成にて作成された120 kVの画像(140kV:100kV=4:6) 

1. スペクトルの情報を利用して骨を分離するspectral bone removal 
2. 従来の閾値を利用して骨を分離するbone removal 

閾値を利用した骨除去はerrorが非常に多い。 
spectral bone removal (1.5%) << threshold bone removal (12.4%) P<0.01 

3人の放射線科医がスコアリング(5点満点)した画質においても、 
Dual energy (4.5) >> Single energy (4.1) P<0.026 

閾値を使用した方法に比べると、spectral bone removalは有効

Dual Energy CTの放射線被曝:review

本日は下記の論文を読んで見ました。

Henzler T, et al.: Dual-energy CT: radiation dose aspects. AJR Am J Roentgenol. 2012 Nov;199(5 Suppl):S16-25. doi: 10.2214/AJR.12.9210. 

AJRからdownloadできます。

Dual energy CTは2006年にDual source CTが市場に投入されてから有用性が語られるようになった。
 しかし、Dual energy CTの有用性はすでに1970年代に報告されており、理論的には新しいものではない。 

本報告はDual energy CTの放射線被曝について、reviewしたもの。 

Dual energy CTは過去の報告を見る限り、画像の質やSNRでNormalizeした場合、その使用において線量が増加するわけではない。
(high pitch coronary CTA等において、使用しない方が線量が低いという報告もあるが) 

Virtual unenhanced CTを用いて、単純CTを省くことが可能という報告が散見され、これを実施すればfollow upが不可欠な患者において、大きな線量低減効果を得ることができる。 

線量増加がほとんどない一方で、画像の質は大きく向上する可能性がある。 

金属アーチファクト低減のための190 keV CT image (Fig 4)、
CTAの効果を顕著に増加する40 keV image (Fig 8)、 
血管確保が難しい患者における造影不良CTAの改善(Fig 9)はとても興味深い。 

特にルート確保が難しい患者におけるCTA(Fig 9)はとても役に立つと思う。

2013年7月1日月曜日

3T-MRIでスピキュラは見えるのか?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Uematsu T, et al.: Comparison of 3- and 1.5-T dynamic breast MRI for visualization of spiculated masses previously identified using mammography. AJR Am J Roentgenol. 2012 Jun;198(6):W611-7. doi: 10.2214/AJR.11.7463. 

AJRからdownloadできます。

スピキュラは3T-MRIで見えるのか? 
1.5T 両側撮影、3.0T 両側撮影、3.0T 片方撮影を実施し、比較した論文 

1.5T: Gyroscan Intera with 4チャンネル乳房専用コイル:49名 
両側Axial撮影, Voxel size: 1.0 mm x 1.0 mm x 1.0 mm 

3.0T: Achieva 3T TX with 16チャンネル乳房専用コイル:71名 
両側Axial撮影, Voxel size: 0.8 mm x 1.0 mm x 0.9 mm 
片側Sagital撮影, Voxel size: 0.8 mm x 0.9 mm x 0.5 mm 

スピキュラの判定は3人の放射線科医の点数の合算 
(0:なし、1:有:点数は0-3) 

3.0 T Sagital view > 3.0 axial view (P=0.009) 
3.0 T Sagital view > 1.5 axial view (P=0.004) 

スピキュラのように小さい構造的変化を映すには、非常に小さなボクセルと高いSNRが必要 
本論文が示しているように、3.0 Tを用いて小さなボクセルにて画像収集すれば、スピキュラをMRIでうつすことも可能 
Fig 3, 4の3.0 T MRIの画像は非常にスピキュラがはっきりと映し出されている。

2013年6月28日金曜日

DICOM dataを抽出し、TCMを加味した実効線量を計算

本日は下記の論文を読んで見ました。

Tsalafoutas IA, et al.: A comprehensive method for calculating patient effective dose and other dosimetric quantities from CT DICOM images. AJR Am J Roentgenol. 2012 Jul;199(1):133-41. doi: 10.2214/AJR.11.7429. 

AJRからdownloadできます。

DICOM dataを抽出し、TCMを加味した実効線量を計算する方法を提示した論文 

通常CTDI(vol), DLPは装置に表記される。 
DLPに各検査(部位)で与えられた変換係数を乗じることで、実効線量は得られている 

AECを使用した場合、平均で与えられたCTDI(vol)とDLPで正確な推定が可能なのか? 

本疑問に対処するため、DICOM dataからTCMの電流変換量を推定し、各スライス毎の変換係数を算出 
Fig. 1(ICRP60), 2(ICRP103)に各スキャン位置に対する実効線量変換係数が表記されている。 
これを見ればICRP103で乳房のtissue weighting factorが増加したことに対する影響が明確 

Toshiba製のCT装置に表記されるCTDI(vol)の値が平均値ではなく、「最大値」で表記されるため、他装置との比較は困難 

本方法はスライス毎の実効線量変換係数を利用できる点で、TCMやCT透視にも対応できる。 
DICOM dataから抽出できるのは「平均」管電流であるため、XY方向のmodulationを加味した臓器線量の把握は本ソフトではまだできない。 
近いうちにその研究も実施されると予想される。

2013年6月27日木曜日

頭蓋内AVM: 4D-MRAは手術前後の評価において有効か?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Hadizadeh DR, et al.: Noninvasive evaluation of cerebral arteriovenous malformations by 4D-MRA for preoperative planning and postoperative follow-up in 56 patients: comparison with DSA and intraoperative findings. AJNR Am J Neuroradiol. 2012 Jun;33(6):1095-101. doi: 10.3174/ajnr.A2921. Epub 2012 Feb 2. 

AJNRからdownloadできます。

頭蓋内AVMの術前、術後の評価のgold standardは現在のところDSAである。 
しかし、DSAを用いた頭蓋内AVMの術前、術後の評価は、放射線被曝、ヨウド造影剤、血栓等の問題もある。 

本研究は4D-MRAを使用して頭蓋内AVMの術前、術後の評価を実施、DSAと比較 

装置は3T-MRI: Achiva 3.0, 3.0TX 
56名の頭蓋内AVMの患者を対象 

4D-MRAは2グループに分けて検討 (装置更新に伴う処置) 
Gourp 1 
Vozel size. 1.1 x 1.1 x 1.4 
時間分解能. 608ms 

Group 2 
Voxel size. 1.1 x 1.1 x 1.1 
時間分解能. 572ms 

定性的画質評価 
頭蓋内AVMのクラス(Spetzler-Martin)を判定 
MRAはOriginal data, MPR, MIPを検討 

定量的画質評価 
血管の信号分布からFWHMおよび傾き(Sharpness)を検討 

結果 MRAによって判定されたfeeding arteries: 93% 
7つのfeeding arteriesはDSAのみ判定可
(しかし、手術には影響せず)

Group間における血管幅、Sharpnessに差はなし。 
信号強度はGroup 2の方が高い(造影剤濃度が異なる)。 

DSAの代わりを4D-MRAが担うのはもう少し時間がかかるかもしれない。
 しかし術前のクラス分けは可能であり、繰り返すfollow upにも有効。

2013年6月26日水曜日

DECT: 造影後のCTにおいて出血と造影剤を区別できるか?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Phan CM, et al.: Differentiation of hemorrhage from iodinated contrast in different intracranial compartments using dual-energy head CT. AJNR Am J Neuroradiol. 2012 Jun;33(6):1088-94. doi: 10.3174/ajnr.A2909. Epub 2012 Jan 19. 

AJNRからdownloadできます。
DECTを使用して、造影後のCTにおける出血と造影剤を区別できるかを調べた論文 
MRIに比べると時間がかからず、コストも低く、禁忌もないので、本方法が確立されれば有用。 

Somatom Definition (with double x-ray tube)、80kVp / 140kVpで撮像 
出血、脳実質、造影剤において、質量減弱係数の違い(光電効果とコンプトン効果)を利用した分離 

Single Energy画像, ヨウド画像、Virtual Non Contrast (VNC)画像を計算 

VNCにて高吸収: 出血 
ヨウド画像にて高吸収: 造影剤 
両画像にて高吸収: 出血と造影剤の混在 

造影剤は24-48時間後の単純CTにてwashoutされるため、残存する高吸収値は出血とみなし、referenceとする。

結果 
出血検出に関して、全体の感度は100%、特異度は92.8% 
Fig 1-5の臨床例が有用 
本検討において、石灰化は含まれていないので、紛らわしい石灰化の判定は今後問題となる可能性もある。

2013年6月25日火曜日

Iterative reconstruction: 側頭骨CTにおける線量低減効果

本日は下記の論文を読んで見ました。

Niu YT, et al.: Radiation dose reduction in temporal bone CT with iterative reconstruction technique. AJNR Am J Neuroradiol. 2012 Jun;33(6):1020-6. doi: 10.3174/ajnr.A2941. Epub 2012 Feb 9. 

AJNRからdownloadできます。

AECは体幹部に比べ撮像Z軸方向が少なかったり、詳細な画像を撮像する必要性のため、側頭骨CTで有効ではない。
(と筆者は主張している)
しかし、Iterative reconstruction技術を使えば、空間分解能や放射線量の減少をすることなくノイズの低減が可能 

Philips CT (Briliance 64) with iDoseによる研究

 1. 臨床における評価 施設にて通常行われている条件で撮像(140kVp, 200mAs/section: 50名): CTDI.46.9mGy 
死体およびファントムにて導かれた条件での撮影(50名) 

ROIを脳幹および空気にて設置、CT値を測定し、CNRを計算 

2.死体による検討 8体の死体を採用(140kVp, 200mAs/section) 電流を減少
(180, 160, 140, 120, 100, 80, 60, 40mAs/section)
FBPおよびiDoseL1~7にて再構成 CNRを計測 
放射線科医による視覚評価(3段階) 

3.ファントムによる検討 空間分解能テストファントムにて検討(140kVp,100mAs/section) 
FBPおよびiDoseL1~7にて再構成 視覚評価を実施 

4.放射線量 CTDI(vol), DLPより実効線量を計算 

5. 死体における検討 
脳幹のノイズレベルはFBPからiDose1 - iDose7の順で低下 
空気のノイズレベル、脳幹および空気のCT値は特に変化なし 
CNR: FBPからiDose1 - iDose7の順で増加 
視覚評価により、40, 60, 80mAs/sectionはどのiDoseでも不可 
視覚評価により、iDose6,7は線量が多くても不可 

最適化(視覚評価、CNR測定にてreferenceとほぼ同等の評価) 
100mAs/section-iDoseL5(0.29mSv) = 200mAs/section-FBP(0.58mSv) 

6.ファントムにおける検討
FBP, iDoseに空間分解能の差はなし 

側頭骨CTにおいて、Iterative reconstructionにより、画質を保持したまま50%の線量低減が可能 
Iterative reconstructionに放射線科医が慣れてくれば、さらなる線量低減も可能かもしれない。

2013年6月24日月曜日

Neck CT: CTの電圧を70kVpに低下させた場合の影響評価

本日は下記の論文を読んで見ました。

Gnannt R, et al.: Low kilovoltage CT of the neck with 70 kVp: comparison with a standard protocol. AJNR Am J Neuroradiol. 2012 Jun;33(6):1014-9. doi: 10.3174/ajnr.A2910. Epub 2012 Feb 2. 

AJNRからdownloadできます。

ごく最近まで70kVpの管電圧を出力できる装置はなかった。 
小児用に開発された低電圧CTを首のCTに応用し、画質と線量低減効果を調査した論文 

120kVpと70kVpで撮像された20名の患者 
(Retrospective study) 

20名の患者のBMI, 首(APの方向)の直径、首の円周に有意差なし 

画質評価(Neckを上部から3部位に分けて比較) 
Soft tissue 
Neck 2/3: 70kVp > 120kVp 
Neck 3/3: 70kVp < 120kVp 

Bone 
Neck 3/3: 70kVp < 120kVp 

Artifact Neck 3/3: 70kVp < 120kVp 

Noise, CNR 
Neck (all): 70kVp > 120kVp 

放射線量 CTDI(vol), DLP, Effective doseは全て低下 

概ねNeck CTにおいて70kVpを使用することは可能と記載されているが、肩のartifactが問題となる下部は120kVpの方が明らかに良いため、注意が必要。 

首の部位ごとに最適な電圧が異なるので、将来的にはAutomatic Tube Current Techniqueの後継として、管電圧自動制御も視野に入ってくると思われる。

アルコール飲酒:DTI頭部MRIはアルコール摂取による脳浮腫を検知できるか?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Kong LM, et al.: Acute effects of alcohol on the human brain: diffusion tensor imaging study. AJNR Am J Neuroradiol. 2012 May;33(5):928-34. doi: 10.3174/ajnr.A2873. Epub 2012 Jan 12. 

AJNRからdownloadできます。

対象は正常ボランティア16名 
低容量(0.45g/kg)8名 vs 高容量(0.65g/kg)8名 
(heavy drinkersは研究対象外) 
24時間以内アルコール摂取禁止 

1.5T-MRでの撮像 
T1W, T2W, DTI(b=0 - 1000)を撮像 
アルコール摂取前, 0.5, 1, 2, 3時間後に撮像 

ROI 
前頭葉白質、内包、外包、中心前回、中心後回、視床、小脳脚、脳幹 

アルコールによる効果 
摂取約1時間で、頭痛、めまい等がピーク

MR 
T1W、T2Wに変化なし 

ADCは、アルコール摂取後1時間、2時間で前頭葉白質、小脳脚にて有意に低下 
前頭葉白質は1時間、小脳脚は時間目が最小。 
その後は回復 
視床は高容量のグループで1時間後に有意に減少 
他の領域に統計的有意なADC低下はみられず 

FAは前頭葉白質にて、0.5時間後に有意に増加 (他の部位は変化なし) 

通常のMRIでは検知できないが、DTIではアルコールによる神経繊維束の変化をほぼリアルタイムに検知できる。

2013年6月22日土曜日

脳膿瘍とSWI

本日は下記論文を読んでみました。

Lai PH, et al.: Susceptibility-weighted imaging in patients with pyogenic brain abscesses at 1.5T: characteristics of the abscess capsule. AJNR Am J Neuroradiol. 2012 May;33(5):910-4. doi: 10.3174/ajnr.A2866. Epub 2012 Jan 26. 

AJNRからdownloadできます。

脳膿瘍の患者14名の画像上の特徴を記した論文 

 膿瘍縁(rim)、cavity、正常白質のSWI phase valueをラジアンで計測し、比較している。 

 膿瘍縁のSWI phase valueはほかに比べて優位にマイナス値なっている。 

 cavityのSWI phase valueはややマイナス値。 

 脳膿瘍縁のSWI phase valueがマイナスになる理由は、静脈血管が増えてくることに起因するのだろうか? 
 造影T1Wでも強くring enhancementするので、納得できる一面もある。 

 一方で常磁性のフリーラジカルの存在も関与しているかもしれない。

 いずれにしてもPhase valueの計測による判定方法は今後の研究が期待でき、本論文は興味深い。 

 Fig. 2, 3に脳膿瘍のT1W, T2W, T2*W, DWI, ADC, Gd-T1W, SWI-magnitude, SWI-phase, SWIが記載されている。 
 たしかに、rimはphase imageにてhyposignalとなっている。 

頭部CT:Virtual monochromatic spectra imagingは放射線線量の増加なしに画質改善に寄与するか?

本日は下記論文を読んでみました。

Kamiya K, et al.: Preliminary report on virtual monochromatic spectral imaging with fast kVp switching dual energy head CT: comparable image quality to that of 120-kVp CT without increasing the radiation dose. Jpn J Radiol. 2013 Apr;31(4):293-8. doi: 10.1007/s11604-013-0185-9. Epub 2013 Feb 14. 

頭部CT:Virtual monochromatic spectra imaging(VMS)は放射線線量の増加なしに画質改善に寄与するか? 

VMSはノイズ低減、CNRの改善、ビームハードニングアーチファクトの低減に寄与するため、120kVp single energy CT (SECT)に比較して低線量で頭部CTの撮影が可能かもしれない。 

 これを調査するため、retrospective studyで15人の患者を選択 
 (Fast kVp switching(FKS) DECTおよびSECTを実施された患者) 

 評価項目: CTDI(vol)、空気のノイズ、白質のノイズ、CNR、ビームハードニングアーチファクトの度合い、Figure of merit = CNR^2/CTDI(vol)、subjectiveノイズ、白質-灰白質コントラスト、全画質評価 

 FKS-DECT vs SECT CTDI(vol): 70.2 < 78.9 
 画質評価はほぼ同等。 
(統計的には変わらないが、CTDI(vol)の低いFKS-DECTの値が悪いようにも見える)
 FOM 0.053 > 0.037 
であり、ほぼ全ての画像評価が同じであったため、FOMが高くなっている。 

 subjective image noise: FKS-DECT 1.6 vs SECT: 1.03 (P<0.05) 
 (1. minimal, 2. optimum)

 この手の研究は個人的に大事な領域と思っているので、CTDI(vol)が同じレベル(少なくとも統計的に有意ではない)なら比較結果の信憑性が高まったと思うので、少し 残念な気もします。 

2013年6月20日木曜日

TCM-AEC CT: regional CTDI(vol)はorgan doseを推定するのに有用か?

本日下記の論文を読んで見ました。

Khatonabadi M, et al.: The feasibility of a regional CTDIvol to estimate organ dose from tube current modulated CT exams. Med Phys. 2013 May;40(5):051903. doi: 10.1118/1.4798561. 

Medical Physicsからdownloadできます。

通常のCT検査ではtube current modulation (TCM)技術が組み込まれている。 

IECは60601-2-44において、TCMを考慮したスキャンにおいては、CTDI(vol)に全スキャン平均値を用いることを定義している。 

胸部-腹部を撮影する際を例に考えると、肩は電流が高く、肺は低く、上腹部、下腹部につれて電流は高くなり、一つであらわされるCTDI(vol)ではorgan doseの線量推定を困難にしている。 

筆者はCTDI(vol)を、肺(低吸収域)、腹部、骨盤部という領域のregional CTDI(vol)や、肺、乳房、腎臓、肝臓、脾臓のorgan specific CTDI(vol)に分けて、体格と比較している。 

本文献では Normalized organ dose = organ dose / CTDI(vol) 
regional CTDI(vol) = global CTDI(vol) x I(regional) / I(global) 
として定義され、モンテカルロ線量計算の結果からNormalized organ doseが与えられているので、体格とregional CTDI(vol)がわかればorgan doseを推定することができる。 

同じ体格の場合、女性の肺は男性に比較して、同じregional CTDI(vol)において高い線量を受けていることに注意が必要。 
CTDI(vol)のみからの評価ではこの違いを把握することは難しい。 

筆者も述べているように、将来的にはリアルタイムで個々のCT検査の線量把握が可能となると思われる。 それまでの繋ぎとして、この研究は有用かもしれない。

神経膠腫のGrade: Diffusion kurtosisは有効か?

本日は下記の論文を読んで見ました。

Van Cauter S, et al.: Gliomas: diffusion kurtosis MR imaging in grading. Radiology. 2012 May;263(2):492-501. doi: 10.1148/radiol.12110927. Epub 2012 Mar 8. 

Radiolgyから論文をdownloadできます。

神経膠腫のGradeを診断する際に、Diffusion kurtosis(DK)の有効性を調べた論文

 撮像装置は3.0T 
MR装置 対象患者は27名 
Low grade glioma (WHO grade I or II): 11 
High grade glioma (WHO grade III or IV): 17 

mean kurtosisを計算する際、年齢や部位における差を考慮して Normalized mean kurtosis(中間値、四分位点)を使用すると、 
Low grade glioma: 0.48 (0.45 - 0.66) 
High grade glioma: 0.74 (0.64 - 0.86) 
ROC解析結果 AUC 0.866 
感度100%、特異度73%

high grade gliomaとlow grade gliomaではmean kurtosisに有意差(+)

症例数が少ないので注意すべきだが、感度が非常に高いのでgrade判定に有益かもしれない。

2013年6月19日水曜日

ADHDをDKIにて検出

本日下記論文を読んで見ました。

Helpern JA, et al.: Preliminary evidence of altered gray and white matter microstructural development in the frontal lobe of adolescents with attention-deficit hyperactivity disorder: a diffusional kurtosis imaging study. J Magn Reson Imaging. 2011 Jan;33(1):17-23. doi: 10.1002/jmri.22397.

Pubmed Centralからdownloadできます。

ADHD(12例)、正常例(13例)にDiffusional Kurtosis Imaging(DKI)を撮像、前頭前野皮質においてmean kurtosis(MK)を計測。 


MRI装置は3T-TIM Trio 
DKIのシーケンスは、11分17秒で撮像。 

 正常の青年期の子供の場合、年齢に伴って白質および灰白質のMKは上昇する。
一方でADHDの子供の場合、白質、灰白質のMKは変化しない。

ADHDを有する子供のMKをDKIにて測定することは、将来有望な手段となりうるかもしれない。
 しかし、論文中のデータを見る限り、年齢に対するMKの変化(slope)は有意差があるものの、個別の結果ではoverlapが存在するので、患者の測定値にて診断ができるわけではないかもしれない。 

 ADHD(12例)正常例(13例)と症例数が少ないので、今後の動向に注目が必要かも。 

2013年6月18日火曜日

DWIと側脳室内CSF温度計測

本日下記論文を読んで見ました。

Kozak LR, et al. Using diffusion MRI for measuring the temperature of cerebrospinal fluid within the lateral ventricles. Acta Paediatr. 2010 Feb;99(2):237-43. doi: 10.1111/j.1651-2227.2009.01528.x. Epub 2009 Oct 20.

Pubmed Centralからdownloadできます。

脳低温療法の際、脳室内CSFの温度を非侵襲敵にモニタリングできれば有用となるのではないでしょうか?

そこでハンガリーの研究者は、日常使用しているDWIを使って、脳室内CSFの温度を測定する方法を考えたようです。
Fig. 2にMRI画像があります。

式を見ると、拡散係数さえ得られれば計算できるようなので、特別な装置が必要なわけではなさそうです。

臨床現場でBrain MRIを実施、その際に取得するDWIから計算できれば今後有用となるかもしれませんね。